5月のノルウェーはお祝いムードがあふれています!
5月はノルウェーにとって、とても大切な祝日があります。
それは、5月17日のナショナルデーです。
全国各地でブーナッド(Bunad)と呼ばれる民族衣装を着て、国を挙げてお祝いします。
その日は、アイスとホットドッグを好きなだけ食べてもよい日とされ、
街中で多くの子どもたちが嬉しそうに食べている姿を見ることができます。

街の雰囲気
私が住んでいる首都オスロでは、こんなに人が住んでいるんだ!と思うほど、
たくさんの人々が中心部に集まってきます。
スーツやドレス、ブーナッドを着た人々が、手にノルウェー国旗を持って、お祝いします。
もちろんロイヤルファミリーもお祝いします。
王宮前の広場に行くと、場所等の予約をしなくても、
手を振るロイヤルファミリーを見ることができます。
彼らが手を振っている相手は、子どもたちです。
子どもたちは、各小中学校にわかれ、吹奏楽部のマーチングバンドを先頭に、
旗を振りながら行進していきます。
ルートはアーケシュ・フース城(Akershus festning)から始まり、
目抜き通りのカール・ヨーハン通りを進み王宮へたどり着いた後、オスロ市庁舎(Rådhus)前で終わります。
正装した子どもたちが一生懸命歩いている姿は、とても微笑ましい光景です。
ノルウェーのナショナルデーを一緒にお祝いしましょう
もし5月17日にノルウェーへ行くことがあれば、是非街に出てみてください。
子どもたちの行進は、10時から始まり13時半まで続くので、
しっかりと見たければ9時過ぎから場所取りをすることをおススメします。
スーツやドレスでもいいですし、外国人であれば、
母国の民族衣装を着ている人を見かけるので、着物や浴衣を着てみてはいかがでしょうか。
ブーナッドを着たければ、日本の着物レンタルのようなサービスはないので、購入する必要があります。
地域ごとにデザインが異なるので、お気に入りが見つかるといいですね。
大人用は高額ですが、子ども用は安価に手に入れることができるので、記念にいかがでしょうか。
私は4ヶ月の息子用にバーナス・フース(Barnas Hus)という子ども用品店で買いました。
普通に買うと約6000円ですが、5月17日に近づくにつれて安くなるので狙い目です。
今年は暖かかったので、私自身は浴衣を着たところ、
普段はシャイで知らない人に話しかけないノルウェー人も、珍しがって話しかけてきたり、写真をお願いされました。
皆さんも話しかけられたら、「Gratulerer med dagen(グラチュレーレル・メッ・ダーゲン:おめでとう)」や「Kos dere(コース・デーレ:楽しんで)」と会話の最後に言うと喜んでもらえますよ。
ナショナルデーの歴史
同じ祝うにしても、歴史を知っているかどうかでは、心持ちも変わってきますよね。
それでは、5月17日は、どうしてノルウェーの国にとって一番大切な日になったのでしょうか。
それは、1814年のこの日、ノルウェーで初めて憲法が制定されたからです。
1814年まで憲法がなかったのかと驚く人もいるかもしれませんが、
ノルウェーは、長い間デンマークの支配下にあり、デンマークの一地域として扱われていました。
1814年にデンマークからスウェーデンへノルウェーは譲渡されましたが、
ノルウェー人は長い統治時代に嫌気がさしていたので、
選挙で選ばれた全国の代表がEidsvoll(アイツヴォル)で憲法制定会議を開き、憲法が採択されました。
その際、独自の国王を擁立し、独立を目指しました。
当時のスウェーデン国王カール・ヨーハン(Karl Johan)は、自ら軍を率いてノルウェーに攻め入りました。
ノルウェー軍を圧倒し、自分が国王となり、軍事・外交についてはスウェーデンと協力する代わりに、アイツヴォル憲法を認めました。
つまり、その時、ノルウェーは国として認められたのです。
ちなみに、スウェーデンとノルウェーの同君連合国は、その後1905年に独立するまで続きました。
カール・ヨーハンはノルウェーを攻め入り同君連合としましたが、ノルウェーで人気があると個人的には思います。
聞いた話によると、保育園や様々な文化施設を整備するために資金を投入したからだそうです。
また、王宮の目の前には彼の像が建っており、王宮から続く道は彼の名前が付けられています。
というのも、彼が王宮の建設を指示したからです。
オスロでお祝いするならば、王宮とカール・ヨーハン通りは欠かせないスポットです。
歴史に思いを馳せながら、ホットドックとアイスを好きなだけ食べて、お祝いしてみてはいかがでしょうか。
【この記事を書いたノースの仲間たち】

<エリー>
大学でスウェーデン語を専攻。 そこで出会った夫と現在ノルウェーで駐在生活を送る一児の母。