長い長い冬が雪解けと共にやっと終わりを迎える4月。
まだ気温は10度を下回るため上着は手放せないけれど、肌で感じる柔らかな太陽の光がとても心地よく、
待ちにまった、ふと散歩に出かけたくなる日々のはじまりです。
フィンランドで暮らす人々は、一刻も早く春の訪れを感じるために
まだ寒くたって、雪が少し残っていたって、「春らしいこと」をしよう！と外に出ます。
川辺や公園でも、冬服をしっかり着込んでベンチに座り、コーヒーを片手に一息する人がちらほら。
かじかむ手で温かいコーヒーをのみ、背中や顔に太陽のぬくもりを感じながら
ほかほかの焼きたてシナモンロールを食べる…。これこそ、待っていた春の味！
いつものコーヒーも、春の空気と一緒に味わえば、たまらない幸せを感じられます。
今月の北欧コースでは、フィンランドのトゥルクに住むあおいさん家から届いた
春の訪れを楽しむエピソードをもとにしたお料理の数々をお届けします。
太陽の恵みの喜びと、この時期ならではの柔らかな春の空気を感じながら、お楽しみください。
【お品書き】
【春色バスケットサラダ】
春色バスケットサラダ春色バスケットサラダ新鮮な春野菜が市場やスーパーに並びはじめるこの時期。長い冬の間は、保存食などを上手く組み合わせて食事を作ることが多く、フレッシュな食材が恋しくなってくるタイミングでもあるため、色とりどりの春の野菜が並ぶのを見るだけで心が躍ります。
春キャベツやニンジン、アスパラガスなど、旬の野菜をついつい買い込み、あっという間にバスケットはいっぱい！帰ったらどんな料理を作ろうか、考えるのも楽しい時間。そんな日の前菜にぴったりなのが、旬の野菜や果物を合わせた、オレンジとグリーンの色合いがきれいな具沢山サラダ。バスケットに入ったフルーツサラダとパイをバスケットに見立てた、2種類のバスケットサラダをお召し上がりください。
【パルサケイット Parsa keitto
～アスパラガスのスープ～】
この時期はサウナ体験も外せないことのひとつ。サウナの発祥地として知られるフィンランドでは、サウナは生活に溶け込んだ欠かせない存在となっています。サウナでしっかりと温まったあと、気持ちの良い風をすーっと体全体で感じられ、春はサウナにぴったりの季節。
これを楽しみに湖や海の見える公衆サウナで過ごすのがあおいさん家の春の定番です。
しっかり汗を流した後のディナーには、体に優しく染みわたる、栄養たっぷりのアスパラガスのスープ、「パルサケイット」がぴったり。旬のアスパラガスとタマネギをバターで炒めてブイヨンとミルクを加えてことこと煮込んでポタージュに。クルトンやカシュ―ナッツをトッピングして風味と食感の変化もプラス。
春らしい柔らかなグリーンのスープに仕上げました。
【いろどり野菜のパイステットゥロヒ
ディルポテトと丸ごとアスパラベーコン添え】
あおいさんの住むトゥルクの街には、４月のあいだティヴォリ(Tivol)と呼ばれる移動遊園地がやってきます。
夏には他の街に行ってしまうため、トゥルク市民にとって4月といえばティヴォリの季節。
レトロな遊園地のある広場はまるで映画のようで、子供たちにとっても、大人にとってもわくわくを感じられる場所です。そんなティヴォリを満喫した楽しい春の夕食には、パイスティットゥロヒ(Paistettu lohi)を。
ふっくらと焼き上げたサーモンを、魚貝ベースのソースと春らしい彩りの野菜をのせて仕上げた料理です。
ディルポテトは、フィンランドでベーシックなこの時期旬の新じゃが料理。Vappu(※)の時期の料理としても定番の一品です。あおいさんのお義母さんがこの時期になると毎年作ってくれるという、
旬のアスパラガスを丸ごと使ったベーコン巻きも添えて、お楽しみください。
※フィンランドで毎年5/1に行われる春の祭典
【ムンッキとシナモンロール風チーズケーキの盛り合わせ】
森林浴へ行くのも、この時期のあおいさん達の楽しみのひとつ。鳥のさえずりを聞き、少し冷たい風を頬に感じながら森の中を歩き、木漏れ日の中太陽にむかって伸びをするのはとても気持ちがよく、Sinivuokko(ミスミソウ)やValkovuokko(ヤブイチゲ)を見つけると、いよいよ本格的な春の訪れを感じることが出来ます。
そんな森散歩の手軽なおやつには、ムンッキと呼ばれるドーナツがぴったり。Vappuの時に食べられる、むっちりとした食感のドーナツで、4月になると街のあちこちで売られる老若男女が大好きなお菓子です。
本日は、プレーンのムンッキといちごチョコがけのムンッキの2種類ご用意。もうひとつは、あおいさんにとっての春の味・外で食べるシナモンロールのエピソードからインスピレーションを得たシナモンチーズケーキ。
この時期の様々なフィンランドスイーツを少しずつお楽しみいただけるデザートプレートに仕上げました。
ぜひ、温かなコーヒーや紅茶とともにゆっくりとお楽しみください。