5月に入ってようやく、フィンランドにも待ちわびた本格的な春が到来します。
群生タンポポをはじめとする花々が一斉に開花して野原はまるで黄色の絨毯の様になり、
白樺やリンゴの木などの樹木も次々に芽吹いて美しい緑色になります。
白夜一歩手前の太陽を1日中浴びた樹木は、朝より夕刻の方が明らかに色濃くなっていると
実感できるほどのスピードでぐんぐん葉を茂らせ、白鳥やカモたちは水辺に舞い戻って子育てに励み
農家の人たちも待ってましたと土を耕し種まきを始めます。
永い眠りから覚めた北欧の自然は、そうして瞬く間に息を吹き返し、
ノンストップで来る夏へとバトンを繋いでいきます。
そんなフィンランドの5月の代表的な行事といえば、5月1日のメーデー「Vappu」と母の日「Äitienpäivä」。
どちらも多くの人が、フィンランドらしい平穏な1日を過ごす日です。
今月の北欧コースは、フィンランド在住コーディネーター、こばやしあやなさんから届いた
エピソードをもとに、春の到来をよろこぶアラヤ家のテーブルを再現しました。
ぜひ、フィンランドの5月らしい彩りと瑞々しさを、五感でお楽しみください。
【お品書き】
ヘルクレイヴァ Herkkuleivät
~母の日のごちそうオープンサンド~
フィンランドでは、母の日に家族がママのベッドに自作の朝食を運ぶ風習があります。普段、朝食は簡単に済ませるフィンランド人ですが、昨今は母の日が近づくと「母の日の朝食ヒント集」と銘打った情報が増え、見た目も味もひと工夫したHerkkuleivät(ご馳走パン)を贈るのが現地のトレンドになっています。アラヤ家のパパと子供たちも、ママに喜んでもらおうと、ライ麦パンにサーモンや野菜を乗せてバルサミコ酢をかけたものや、ベリーをつかった甘いものなど、2種の見た目も贅沢なご馳走オープンサンドを作りました。
もちろんお母さんは大喜びで、母の日は大成功!
そんなアラヤ家の母の日ごちそうオープンサンド。
春のフルーツサラダを添えてお召し上がりください。
ピナーッティケイット Pinaattikeitto
~ほうれん草のスープ ゆでたまご乗せ~
現在は限られた地域でしか残らない伝統ですが、昔フィンランドの農村地域では、短い春の訪れとその年の農耕の成功を祈願するためのトウコユフラ(toukojuhla=5月祭)を催していました。
集落の人たちで食べて飲んで踊ったあと、大きなかがり火を囲み、来る夏に思いを馳せたそうです。そんな春先の伝統食といえば、輪切りにしたゆで卵を浮かべたほうれん草のミルクスープ、ピナーッティケイット(pinaattikeitto)。淡いグリーンと卵の黄身のコントラストは、新緑に黄色の野花が咲き乱れるこの時期のフィンランドのシンボルカラーそのもの。
ほうれん草の食感が少し残る、優しい味わいのスープにクルトンをトッピングしました。
ズッキーニのボートグラタンと鶏もも肉のソテー
~Vappuのパーティープレート~
フィンランドの5月を象徴する食材のひとつ、ズッキーニ。多くの野菜が旬を迎える夏の手前、一足早く市場に出回り始め家庭菜園で育てる人も多い野菜です。
刻んだり輪切りにして使われる事が多いズッキーニですが、アラヤ家では縦に切り、ミートソースとチーズを乗せたグラタンにして食べるのがこの時期の定番です。今年のVappu(※)に、ガーデンパーティーをした際のメインディッシュにも登場しました!ズッキーニがとろりとした食感になり食べやすく、おしゃれな見た目も相まり、大人からも子供からも大好評でした♪
アラヤ家自慢のズッキーニボートグラタンと鶏もも肉のソテーにリンゴンベリージャムのソース仕立てを添えた一皿です。皆様もどうぞお楽しみください。
※フィンランドで毎年5/1に行われる春の祭典。
黄色い野原のレモンケーキ
ルバーブジャムのアイスクリーム添え
5月に入ってようやくフィンランドにも待ちわびた春が到来したことを告げるのは、野に咲き乱れるタンポポの花たちです。日本では見かけないほど背高で、迫力ある大輪の花を咲かせるフィンランドのタンポポが、ある時一斉に開花するので、このときの野原はまるで黄金色の絨毯が敷かれたよう。他にも、キバナムギナデシコ、菜の花、ヒメリュウキンカなど、この時期はなぜか黄色い草花ばかりが競い合うように道脇を染めます。
そんなフィンランドの春をイメージした黄色いレモンケーキとルバーブシャムのアイス添えのデザートプレートをご賞味ください。