
自然と共にアクティブに楽しむ冬暮らし ~アラヤ家の新年のテーブル~
1月はフィンランド語で「Tammikuu(タンミ クー)」。
「tammi」は樫の木(オーク)、「kuu」は月を意味します。
そして「tammi」には南部の古い方言で「心臓」「軸」「芯部」という意味もあるのです。
1月といえばまさに冬の芯部。暦的にも冬の真ん中で、もっとも気温が落ち込む厳寒月です。
昔の人は、真冬の厳しさを芯が硬くて屈強な樫の木のイメージに重ねたのかもしれませんね。
フィンランドでは大晦日のカウントダウン花火を楽しみに夜ふかしをし、新年1日からは平穏に過ごします。
そんな1月は、太陽光の眩しさが日毎に強まり、気持ちが前向きになれるとき。
銀世界が広がり、オーロラや環状の虹、真珠母雲など美しい自然現象にも出会えます。
湖の氷上を徒歩や自転車で行き交い、のびのびとスキーやスケートを楽しむ人々の姿も。
屋内にこもりがちな暮らしから再びアクティブになる、冬の折り返し地点なのです。
今月の北欧コースは、フィンランド在住コーディネーター・こばやしあやなさんから届いたエピソードをもとに
冬の真ん中を自然と共に健やかに過ごすための工夫を詰め込んだ、アラヤ家のテーブルを再現しました。
ぜひ、フィンランドの1月らしい食材使いと心身があたたまる料理を、五感でお楽しみください。
【お品書き】

Mätimousse ja ruisleipä
(魚卵ムースと彩りサラダ)
【Story】
アラヤ一家が住むフィンランド中南部の湖水地方では、凍った湖に穴を開けて釣り糸を垂らすアイスフィッシングや氷の下に仕掛ける網漁により様々な魚が手に入ります。特に1月に漁獲量が増える旬の代表格が、マデ(made)というタラ目唯一の淡水魚。普段は湖の底で生息していますが、冬の厳寒期に産卵のために浮上してくるところを捕獲します。フィンランドではこの卵巣を一度凍らせて殺菌し再解凍。よくほぐしてさまざまな料理のトッピングやムース(mätimousse)にします。
【Menu】
本日の前菜は、プチプチ食感が楽しめるトビコのムースと、冬のフルーツが彩りを添えるサラダ仕立てにいたしました。フィンランド流に薄いライ麦パンと合わせてお召し上がりください。

Madekeitto
(タラと根菜のクリームスープ)
【Story】
厳しい寒さが続きますが、自然の恵みを活かしたアクティビティ楽しめるこの時期。フィンランド国内に何十万とある湖はすべて凍てつき、そこは広大な天然リンクに!冬限定の嬉しいショートカット道として、通勤や通学に氷上を徒歩や自転車で行きかう人々の姿が見られます。スケートはもちろん雪が積もればスキーもする人も。年内は引きこもりがちだったアラヤ一家も再びアクティブになり、週末になると家族で白銀の街へお散歩に出かけます。ハロゲン相と呼ばれる環状の虹や真珠雲母など、気温低下が招く美しく珍しい自然現象との出会いにこの国の自然の豊かさを感じます。
【Menu】
Storyからヒントを得た、
身体の中から温まるスープをご用意しました。
旬の魚であるタラと根菜、ディルなどの香草も加えた北欧の香りがする滋味深いクリームスープとなっています。香ばしいカシューナッツの香りと食感も合わせて
お楽しみください。

Kaalikäärleet
(フィンランド式ロールキャベツ)
【Story】
フィンランドの厳寒期である1月は、魚以外に旬と呼べる食材はありません。そんな中、伝統的に年中収穫される希少な野菜がキャベツです。大きくて硬いことで知られるフィンランドのキャベツですが、その分風味はしっかりしていて、保存性も高いため重宝されています。
フィンランド式ロールキャベツは伝統家庭料理のひとつ。煮込むのではなくオーブンで焼いて仕上げるのが定番です。タネにはひき肉と一緒に大麦や米、味付けには黒糖シロップが入り、照り焼きのような甘辛味。
アラヤ家では子供から大人まで
リクエストの絶えないメニューです。
【Menu】
Storyに登場した、フィンランド式のオーブンで焼き上げるロールキャベツが本日のメイン。
生クリームを加えたコクのあるソース、サイドに添えたマッシュポテトとリンゴンベリージャムと一緒に
ご賞味ください。

Kaura-omenapaistos
(オートミールとりんごのオーブン焼き)
【Story】
1日を通して冷え込むこの時期のフィンランド。通勤や通学、ちょっと外出で冷えた身体を温めるため、あたたかな飲み物が欠かせません。毎日のルーティンになっているコーヒータイム「Kahvitauko(カハヴィタウコ)」のお供や、食後のデザートに、特にこの時期になると温かいものが食べたくなります。そんなときにアラヤ家が作るのは、秋から春にかけて収穫されるりんごをたっぷり使ったオーブン焼き。程よく食感の残るりんごと、サクサクのオートミールが食欲をそそります。
【Menu】
コースを締めくくるデザートは、シナモンとカルダモン香るリンゴのオーブン焼きです。
アクセントのシナモンとカルダモンには、血行を促進し体をあたためる性質があるとされています。
冷たいバニラアイスと合わせながら、
ゆっくりとご堪能下さい。