
『黄金の秋を味わう ラトビア・アルスンガ村の食卓』
いよいよ黄金の秋が訪れる9月のラトビアは、日中は穏やかな陽気が続くものの、
朝晩は冷え込み、本格的な秋の訪れを感じさせる季節です。
森は赤や黄色に色づき、短い夏の終わりと長く厳しい冬の始まりが交錯する、自然の恵み豊かな時期となります。
首都リガからバスで約4時間の距離にあるアルスンガ村には、
独自の文化を持つ「スイティ民族」と呼ばれる人々が暮らしています。
彼らは古くからの伝統を受け継ぎ、自然と共に、ほぼ自給自足の生活を営んでいます。
この時期は、小麦が黄金色に実り、じゃがいもや人参の収穫で村全体が活気に満ち溢れます。
村人たちは助け合い、温かいコミュニティの絆の中で収穫の喜びを分かち合います。
9月第4週の日曜日には、秋分の日を祝う伝統的な「ミキェリ祭」が盛大に開催され、
市場には季節の恵みがずらりと並び、村はお祭りムードに包まれます。
この祭りが終わると、村の気温は急激に下がり、人々は長く寒い冬に備え、保存食づくりに勤しみます。
今月の北欧コースでは、そんな待ちに待った黄金の秋への喜びと、
収穫祭のお祝いムードに溢れた、ラトビア・アルスンガ村の食卓を再現しました。
この季節だけの特別な味を、ぜひ心ゆくまでお楽しみください。
【お品書き】

フレッシュ野菜のカッテージチーズサラダ
じゃがいものパンケーキを添えて
【Story】
この時期のラトビアでは、朝晩の冷え込みが増し、短い夏の終わりと長い冬の始まりが交差します。アルスンガ村のマルティノバ家では、ハウスで完熟したキュウリやトマト、自家製カッテージチーズ、庭で育ったディルを使った素朴なサラダが食卓に並びます。また、ライ麦パンに次ぐ主食であるじゃがいもは、秋に大量に収穫され冬の備蓄となる重要な食材です。この料理は、彼らの日々の暮らしと大地からの恵みへの感謝を表しています。
【Menu】
フレッシュ野菜のカッテージチーズサラダ じゃがいものパンケーキを添えて: 夏野菜とカッテージチーズの素朴なサラダに、ラトビアの主食であるじゃがいもの香ばしいパンケーキを添えました。

燻製カレイのスープ
【Story】
冬に備えた保存食作りが盛んに行われる季節です。ラトビアの各家庭には地下室があり、穀物や野菜が貯蔵され、酢漬けや燻製などの加工品が作られます。バルト海に近いアルスンガ村では、地元で釣れたカレイをオークの葉などと一緒に燻製にする習慣があり、たくさん釣れた日には「燻製パーティー」が開かれるほど特別なごちそうです。このスープは、厳しい冬を乗り越える知恵と、村人たちが分かち合う豊かな食文化を象徴しています。
【Menu】
バルト海に近いアルスンガ村の伝統、オークで燻したカレイの旨味が溶け込んだ、滋味深いスープです。

ポークカツレツ ラトビア風クリームソースと共に
エスカリバーダ添え
【Story】
9月第4週の日曜日は、収穫を祝う秋分の日「ミキェリ」が祝われ、アルスンガ村では2日間に渡る盛大な祭りとなります。村の市場には採れたての野菜やはちみつ、卵などが並び、マルティノバ家も民族衣装で参加します。普段は肉を食べる機会が少ない村ですが、ミキェリやクリスマス、夏至といった祝祭の日には、豚や鶏などの家畜がごちそうとして振る舞われます。この一皿は、祝祭の食卓に欠かせない定番料理であり、家族の温かさと特別な日への喜びを伝えています。
【Menu】
収穫祭「ミキェリ」の定番。マルティノバ家秘伝の特製クリームソースを添えた、祝祭のポークカツレツです。

スクランドラウシィとベリーのクレープ
【Story】
9月の週末、マルティノバ家の親子は森へきのこ狩りやベリー摘みに出かけ、クランベリーやラズベリーなどを摘みながら森を歩きます。庭の大きな池での釣りや水遊びも、彼らの短い夏の楽しみです。デザートの素朴なタルトは、ライ麦生地にじゃがいもと人参をのせた伝統菓子で、家庭ごとに味が異なり話題になることもあります。森のベリーとカッテージチーズを使ったクレープも子どもたちに人気です。これらは、自然の恵みを最大限に生かした、家族の温かさが感じられる日常のおやつです。
【Menu】
ライ麦生地にじゃがいもと人参をのせた伝統タルト「スクランドラウシィ」と、森のベリーとカッテージチーズのクレープです。